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2017年1月13日 (金)

芸術は政治より生命が長い

メリル・ストリープは大好きな女優だが、「セシル・B・デミル賞」受賞時のスピーチは好きになれない。俳優やアーチストは基本的に政治的な発言はしない方がいいと思っている。正確に言えば、政治については語ってもいいが、政治家については語らない方がいいと思っている。なぜなら、多くの場合その発言は政治家に利用されてしまうからだ。そして、それは時にアーティスト活動に致命的な影響を与える。
ドナルド・トランプが障害を持ったレポーターの真似をした映像は確かに愚かだが、ヒラリー・クリントンがリビアのカダフィの死について語った映像はもっと醜悪だ。
https://www.youtube.com/watch?v=Fgcd1ghag5Y
彼女は自分でカダフィ殺害を指示し、その死を知ってテレビカメラの前で高笑いをしたのだ。カダフィは悪人だからいいじゃないかという人は、彼のアフリカでの功績を知った方がいい。アメリカにとって悪でも、あちらでは英雄であり名君であったのだ。
どちらにせよ人の死を高笑いする人物が尊敬に値するとは思えない。
要するにトランプもヒラリーもどちらも品性のない人物であり、今度のアメリカ大統領選はどっちがより下品かを争ったようなものだった。史上最低の大統領選と言われた所以である。

芸術は政治よりも生命の長いものだ。
「第三の男」のオースン・ウェルズのセリフではないが『ボルジア家の圧政のもと、ダビンチやミケランジェロが生まれた』が、ボルジア家が滅んだ後も彼らの芸術は愛され続けている。
ワグナーはナチスに利用されたが、今、彼の曲をヒトラーと結び付けて聞く人はいないだろう。しかし、レ二・リーフェンシュタールは優れた映画監督だったが、ヒトラーに近づきすぎたため、戦後二度と映画を撮れなかった。
勿論、アーチストも一市民なのだから政治に関心を持つのは当たり前だ。政治活動を行う権利もある。イーストウッドは共和党の党大会に出てオバマ大統領を批判したが、それは政治集会なのだからある意味当然だろう。しかし「セシル・B・デミル賞」の授賞式は場違いだと思う。そこで政治的なスピーチをするのは、世間の耳目が集まるその場を利用しているだけで、プロパガンダの匂いがする。スピーチ自体も民主党のスピーチライターが書いたのかと疑いたくなるような内容だ。あの素晴らしきメリル・ストリープが、こんな下世話な事に関わって欲しくないと言うのが正直な感想だ。
もし政権を批判したいのなら、チャップリンが『独裁者』を作った様に、ダルトン・トランボが『ローマの休日』に反赤狩りのメッセージを込めたように、作品で表してほしい。それが見事な作品なら、それはきっと為政者たちよりも長生きするだろう。

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