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2015年12月

2015年12月31日 (木)

小津と黒沢

小津安二郎と黒沢明の作品を集中して見た。   
「七人の侍」「東京物語」「生き物の記録」「秋刀魚の味」「続姿三四郎」「東京暮色」「蜘蛛巣城」「浮草」「乱」「彼岸花」などなど。    
この二人に溝口を加えれば、日本の三大映画監督となる。それは今でも変わらない。

 

学生時代は圧倒的に黒沢びいきだった。小津も溝口も見たが、その魅力をあまり理解出来なかった。今は小津も溝口も面白い。自分が年を取り、様々な経験を経たせいだろうか? 不思議なものだ。

 

小津安二郎は特殊な監督だ。その作品を一本でも見れば、その独自なスタイルに気付く。役者のセリフは棒読みに聞こえるし、カメラはほとんど動かない。イマジナリラインを無視したカットバック。いつも同じようなタイトルバック。取り上げる題材も、同じようなものばかりだ。

 

小津監督の「東京物語」が近年、イギリスの映画雑誌で史上第一位の映画に選ばれたそうだ。ちなみに第二位は「2001年宇宙の旅」で第三位が「市民ケーン」。   
何となく納得の三作品だ。何か共通したものを感じる。なんだろう?

 

「東京物語」は新しくデジタルリマスターされたブルーレイで見た。映像は新作のように美しく、音声も聞き取りやすい。不思議なことに物語もよく伝わってくる。何回も見た作品であるが、新鮮な驚きとともに見ることが出来た。   
今まで分からなかった、伝わらなかった監督の意図も見えてきたような気がする。

 

いつも感心するのは、その映像の切り取り方である。   
最近のヒット作の多くはカメラが動く。ステディカムなどが開発されてから、その傾向は加速している。小津作品はほとんどカメラが動かない。しかし、その構図やカメラを置く場所は、計算しつくされている。小津監督はもともとは撮影部だった。そしてサイレント映画でデビューしている。それが何か影響を与えているのか?

 

上記のベスト3に選ばれた三作品に共通するのは、映像のスタイルかもしれない。どの作品もしっかりと計算された映像があり、無意味にカメラが動くことがない。   
「モーション・ピクチャー」つまり「動く写真」という概念が、やはり「映画」の本質と深く絡んでいるのかもしれない。

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