« 『浮草』 | トップページ | 『美しき絵の崩壊』 »

2015年10月27日 (火)

『オール・ザット・ジャズ』

『オール・ザット・ジャズ』を久しぶりに見た。

 

ミュージカルの演出家であり映画監督でもあったボブ・フォッシーの監督作品である。この人の作品では『レニー・ブルース』が大好きで、映画館で何度もみた。

 

『オール・ザット・ジャズ』は彼の自伝的な作品で、フォッシー本人をモデルにした主人公が、新作ミュージカルの制作準備と同時に、あきらかに『レニー・ブルース』だと分かる映画の編集をしている。

 

この手の伝記物にありがちだが、ショービジネスの厳しさと並行して、離婚した妻や子供、女たちとの情事、ドラッグにまみれた生活が描かれる。全体的にはドキュメンタリータッチの映像で、冒頭のオーディション風景はそれが上手く機能していて、実にすばらしい。ところどころに彼の幻想シーンが挟み込まれるが、これは明らかにフェリーニの影響を受けていて、自伝的という意味でも『8½』に似ている。

 

後に『8½』をミュージカルにした『ナイン』という舞台作品が出てきて、映画にもなっているのだが、結果的に『ナイン』と『オール・ザット・ジャズ』は良く似ている。 フェリーニ的なところは、やはりフェリーニの方が上手いと思うが、素晴らしいのはやはりボブ・フォッシーの振り付けである。映画の中盤に出てくる「エア・エロチカ」というナンバーの振り付けはまさしくフォッシーのタッチで、シンプルでセクシーでスタイリッシュ。圧巻である。

 

最後は自分の死を演出するという形になっていて、学生のころに見たときには、あまりピンとこなかったが、改めて見るといろんなことがよく分かる。

 

映画の編集が上手くいかなくて悩んでいるときに「キューブリックでも悩むことがあるのかな」と主人公がぼやくシーンがある。個人的には最も印象に残るセリフだった。 全体的に以前に見たよりも面白く感じたのは、自分が年をとったせいなのか?

 

 

|

« 『浮草』 | トップページ | 『美しき絵の崩壊』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543593/62558819

この記事へのトラックバック一覧です: 『オール・ザット・ジャズ』:

« 『浮草』 | トップページ | 『美しき絵の崩壊』 »