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2015年7月

2015年7月30日 (木)

「ピアノ・レッスン」&「ホーリー・スモーク」

ジェーン・カンピオンの映画を二本見る。
「ピアノ・レッスン」と「ホーリー・スモーク」

「ピアノ・レッスン」は劇場でも見たので何回目かの視聴だが、しばらくぶりに見て改めて傑作だと思った。
テーマ、ストーリーも素晴らしいが、その映像表現に感心した。
荒れた海の浜辺に残されたピアノ。
この映像が全てを象徴している。
彩度を抑えた映像設計も、映画全体を支えている

ホリー・ハンター、ハーベイ・カイテル、サム・ニール、そしてアンナ・パキン。キャストは完ぺき。マイケル・ナイマンの音楽も勿論素敵だ。

「ホーリー・スモーク」は「ピアノ・レッスン」に比べると評価が低いようだが、これは違った意味で面白かった。
カルト宗教に洗脳されてしまった女性の洗脳を解くためにやってきた男が、その女の虜になってしまうというお話。
「ピアノ・レッスン」にも出ているハーベイ・カイテルが、洗脳を解くプロの役を演じている。ヒロインはケイト・ウィンスレット。
「タイタニック」の後、小さいが個性的な作品が多く、好きな女優の一人だ。ヌードになることも多く、この作品でも全裸になっている。
それにしてもハーベイ・カイテルがドレスを着て走るシーンは笑った。
すごい俳優だ。
若いころ、スコセッシの映画ではデニーロに食われ気味だったが、今はハーベイ・カイテルの方が魅力的だ。
アンゲロプロスなどの映画でも素晴らしいし、作品の選択に自由を感じる。

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2015年7月22日 (水)

『コンボイ』

サム・ペキンパーの「コンボイ」がブルーレイになっているのを手に入れたので、久しぶりに見た。
これは劇場で封切り時に見た初めてのペキンパー映画だったと思う。それ以前の「ワイルドパンチ」などは全て名画座で見た。

「コンボイ」は彼のキャリアの中では傑作というわけではないが、好きな作品だ。ペキンパーの映画にはやはり独自の魅力がある。

トラックドライバーの主人公が保安官と揉めて、仲間が逮捕されたり、それを奪い返したりしているうちに、そのニュースを聞きつけたトラックドライバーが各地から集まってきて、大旅団(コンボイ)になるという話だ。
途中からマスコミや政治家が絡んで来て、主人公は時代の寵児の様に扱われるが、メキシコの国境沿いで軍隊と激突する。
この映画でもやはり、アメリカに居場所がなくなった男は、メキシコを目指す。

ようするに「ワイルドパンチ」の現代版を狙ったのだろうが、あそこまで悲痛な何かを描いている訳ではない。トラックは現代の馬車で、自由の象徴だが、西部劇の時代とは違い、戦って死ぬことにロマンはない。
したたかに生き残る事しかないのだ。

クリス・クリストファーソン、バート・ヤング、アーネスト・ボーグナイン、そしてアリ・マックグロウ。キャスティングは素晴らしい。
アーネスト・ボーグナインと主人公のやりとりはアルドリッチの傑作「北国の帝王」を思い出させる。

特に好きなのはオープニング。
陽炎のなかに現れる黒いトラック。それを追い越すジャガーに乗った女。ショートヘアのアリ・マックグロウ。
何度見てもいい!

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2015年7月13日 (月)

死体と旅する男達

『メルキアス・エストラーダの3度目の埋葬』を見る。

見るのはこれで二回目だ。この作品はトミー・リー・ジョーンズの初監督作品。初めてとは思えない、落ち着いた、堂々とした演出である。

メキシコ国境近くの農場で働いている主人公は、不法滞在のメキシコ人、メルキアス・エストラーダと友人になる。ある日、ちょっとした間違いが起き、国境警備隊の若い男にエストラーダは射殺される。死体はすぐに埋葬され、事件は闇に葬られそうになる。
主人公は犯人の若い警備隊員を誘拐し、エストラーダの死体を掘り起こさせ、メキシコにある彼の故郷へ向かう。
「自分が死んだら、故郷に埋葬してほしい」という友の願いを実行するため。

男二人と死体が旅をするという話である。
その間に様々な出来事があり、自分勝手だった若い男 は、変わって行く。一種の成長物語でもある。
トミー・リー・ジョーンズは頑固な古い男を好演している。
その存在感だけで、この映画は成功している。

見ていて思い出したのはペキンパーの『ガルシアの首』だ。この映画でも主人公のウォーレン・オーツが死体と旅をする。(この場合、首だけだが)
途中で死体が腐りはじめて、虫がわき、主人公が悪戦苦闘する様は、どこか似ている。最後にたどり着く場所もメキシコだ。

アメリカ映画に登場するメキシコは、貧しく野蛮だが、アメリカが失ってしまった何かを残している場所である。
命がけで国境を渡り、アメリカに入り込もうとするメキシコ人は後を絶たない。一方で、アメリカに失望し、居場所を失った男達は、メキシコを目指す。
では、アメリカが失ったものとは何なのか?

自由か? 誇りか?

 

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2015年7月 7日 (火)

「青い体験」ブルーレイ

「青い体験」のブルーレイを見る。ラウラ・アントネリが出ている、あの映画だ。少年の初体験ものである。ある世代にとっては、とても記憶に残っている映画だろう。それがなんとブルーレイになったのだ。

映像が美しいのにまず驚いた。最新のリマスター技術ってのは凄い。まるで新作のようだ。そして今回初めて知ったのだが、撮影がビットリオ・ストラーロだった。後にコッポラの「地獄の黙示録」などを撮る、名カメラマンだ。映像が美しいはずだよね。

監督のサルバトーレ・サンペリは「スキャンダル」という映画でもストラーロと組んでいる。
この監督はエロス系の映画ばかり撮っている。
主演のラウラもお色気映画ばかりだった。ビスコンティの遺作「イノセント」などにも出て本格女優になったかと思ったら、その後もエロス路線が続いた。

晩年は麻薬で捕まったり、ボトックス注射に失敗してプロデューサーを訴えたり、あまり良い事はなかったみたいだ。
悲しい事である。

しかし、この映画の中の彼女は今も若く、かわいく、大胆で、色っぽい。
これもまた映画のマジックだ。

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ポーランド映画「イーダ」

いろいろ観た中では「イーダ」が印象に残っている。ポーランドの作品で、パヴェウ・パヴリコスフキという監督は初めて知った。

若い尼僧が、自分の出自を探るために、叔母と一緒に旅に出る、というロードムービー。全編、白黒映画で撮影が美しい。

特徴的だったのは、カメラが殆ど動かないという点。パンもドリーもない。フィックスの美しい構図の積み重ね。そこが素晴らしいと思った。
ラストカットだけがトラックバックである。(私の記憶によれば)

映像とストーリーが何らかのリンクをしている作品を観るのは楽しい。今はストーリーばかりで、映像は手段と化している。

こんな映画を撮れるのは、素直に羨ましいと思った。

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最近見た映画

最近見た映画&DVD
「ファッションが教えてくれること」「おとなのけんか」「モスクワは涙を信じない」「バッドインフルエンス」「蜂の旅人」「ノスタルジア」「イーダ」「ソフィの鍵」「セッション」「ハンター」「ダウントン・アビー3」「尼僧ヨアンナ」「メリィポピンズ」「テオレマ」「召使」「許されざる者(ヘップバーン主演)」「ベルリン天使の歌」「バグダッドカフェ」「ハンナ・アーレント」「私の息子」「栄光への脱出」「ザ・マスター」「ゼロ・ダーク・サーティー」「ゴーン・ガール」「アクト・オブ・キリング」「ニンフォマニアック」などなど。

以上、備忘録として。

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