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2015年5月

2015年5月14日 (木)

『エロス+虐殺』

『エロス+虐殺』のロングバージョンを見た。

この映画は学生の頃にどこかの名画座で観た事がある。所謂、松竹ヌーベルバーグと呼ばれる映画の一つで、監督は吉田喜重。
当時、訳が判らない映画の代表的な一本であったが、今見ると判らないなりに面白く見ることができた。
あの頃は、大杉栄が何者であるかも知らずに見ていたのだから、判らないのは当たり前である。

主演は細川俊之、岡田茉莉子。
お二人とも、この業界に入ってから一緒に仕事をしたことがある。その時はもうベテラン俳優のお二人であったが、この映画の中では実に若い。そして、二人とも色っぽい。
特に大杉栄役の細川さんの色男ぶりは素晴らしい。二枚目であるだけではなく、知的に見える。つまり活動家大杉栄に見えるという事だ。

「日本の俳優は兵隊とチンピラは上手にやる」
と言ったのは誰だったか忘れたが、その反面、一番の人手不足はインテリ役者だと思う。それでも昔はそれなりにいたと思うのだが、最近は本当に限られた俳優さんしか思い浮かばない。必然的に、知的な役となるとほとんど同じ人が演じている。

役者も素晴らしいが、撮影も格好いい。
そう。格好いいのだ。
全編、かなりハイキーな映像、大胆な構図、そしてシャープなカッティング……日本映画には珍しいタイプだ。

今、このような映画を作るのは難しいだろう。
制作費はさほどかかっていないと思うが、それでもこの手の映画に金を出す人は少ないと思う。
観念的な会話が延々と続く、そのスタイルを受け入れる観客も少ないだろう。

時代遅れになっている部分も勿論あるが、今でも知的な輝きを失わない、不思議な映画だ。

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2015年5月 9日 (土)

音声解説

DVDで映画を見る楽しみの一つは音声解説だ。
何回も見たお気に入りの映画は、音声解説付で見ると、新しい発見がある。
誰が解説しているかで随分と印象は違う。一番面白いのはやはり監督が解説しているものだ。

『ゴッドファーザー』はそんな映画の一つである。
音声解説でコッポラは実に正直な言葉を述べている。パート1の時は、自分がいかに新米監督で、クビになる恐れを抱きながら現場にいたかを話している。ルーカスが編集を手伝ってくれた事とか、ロバート・タウンがタダでブランドのセリフを書いてくれたとか、秘密のエピソードも多い。パート2ではコッポラはハリウッドの大物で、予算にせよ何にせよ殆どの要求を思い通りにしている。パート3になると一転して「自分の影響力は衰えた」と言い、思い通りに作れなかったと嘆く。
正直な人なんだなあと思うと同時に、コッポラのハリウッドでの立場の推移が、劇中のマイケル・コルレオーネの栄枯盛衰と重なって見える。

『アマデウス』では監督のミロス・フォアマンと脚本のピーター・シェーファーが音声解説をしている。
ミロス・フォアマンは体育会系と言うか、イケイケなしゃべり方で、ピーター・シェーファーに対しても「君はこうしたかったみたいだけど、これは映画だからこれで良かったんだよ」とか強引な物の言い方があった。もっと繊細な感じの人かと思っていたが、意外であった。

『危険な関係』も監督と脚本家の組み合わせであった。
この二人はお互いに功績を譲り合っていて微笑ましかった。途中でミロス・フォアマンの話が出て来る。彼らの映画化がなかなか進まないときに、ミロス・フォアマンが同じ原作を映画化する話が発表され、慌てて脚本を書き、キャスティングを始めたそうだ。ミシェル・ファイファーはミロス側からも打診されていたようだが、自分達の方を受けてくれて嬉しかったとも言っている。監督はスティーブン・フリアーズで、これが出世作だ。

日本では『風の谷のナウシカ』に付いていた庵野秀明の音声解説が面白かった。庵野氏は巨神兵を書いた事で有名だが、この音声解説を聞くと、彼がいかに「ナウシカ」が好きかよく判る。特にテト(ナウシカの肩に乗っている小動物)に関する言及が印象的だ。
「このシーンも書きたかったんだけど、時間がなかった」とか、とにかくアニメーターらしい発言が一杯で、宮崎氏が彼を評価するのも納得である。

 

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