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2012年11月30日 (金)

僕の見た震災はテレビの中

 

『もろさわ和幸バースデイライブ』、無事に終わりました。ご来場してくださった皆様、本当にありがとう御座いました。

 

自分のバースデイライブを自分で企画するというのは、恥を知らないというか、美学がないというか、自分でも呆れていますが、当日のMCでも言いましたが、人間年を取るとあまり細かいことは気にならなくなるもんです。とにかく楽しい一夜でした。

 

オープニングのサトウシンジ君、ゲストの「ユリと森の音楽隊」も、素敵なパフォーマンスを見せてくれました。改めてお礼をいいます。

 

お蔭さまで場内は満員、急遽椅子の数を増やすという事態になりました。満員のお客様の前で唄うというのは、やはり気持ちのいいものです。本当にありがとう御座いました。

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そんな楽しいライブが終わり、近くの居酒屋で出演者と乾杯をした後、ライブに来てくれた大学時代の友人が二人、下北でまだ飲んでいるというので、合流しました。

友人の一人は某電力会社に勤めております。彼は、当日私が唄った歌の一曲「僕の見た震災はテレビの中」の一節を取り上げ、「お前がああいう風に唄ってくれて、俺は嬉しかったよ。ありがとう」と言ってくれました。歌を聞きながら、涙を流したとも言いました。その一節はこうです。

 

もう一度原子炉に 戻らなくてはいけないんだと 

呟いた父の背中を 泣きながら少女は見ていた

この国のエネルギーを 守るのがパパの仕事なんだ

自慢げに話しながら 今まで暮らして来たのに

今ではうつむいて 暗い顔で歩く 

お前の親父のせいで もう故郷には住めない

そう言われた少女の涙を 僕は唄う事が出来ない

 


以上のフレーズは、実際にあの震災があった当日、ツィッターに乗せられた書き込みからインスパイアされて書いたものです。

あの震災以来、その電力会社はつねに批判の矢面に立たされています。しかし、そこには生身の人間がいて必死に働いているのです。そしてその人たちには家族や親戚もいるのです。つまりは彼らはけっして敵ではなく、むしろ同胞なのです。

ミュージシャンや芸術家と呼ばれる人たちの殆どは『反原発』の立場をとります。実際、私が唄ったライブハウスの階段にも『反原発』のポスターが沢山貼ってありました。私の友人はそれを見て「帰ろうかな」と思ったそうです。

彼はクレーム処理をする人材を管理する仕事しています。多くの社員が批判に晒され、ノイローゼになり、辞めていくそうです。

『反原発』は絶対的な正義となってしまい、それを掲げて歌えば、皆がその反骨精神を高く評価します。その一方で水に落ちた犬は叩けとばかり、電力会社を攻撃する。実際に何か被害にあったわけでもない人が、抵抗できない相手をここぞとばかりに叩く。それは、まるで「イジメ」の構造と一緒です。『反原発』という正義があるだけ、余計にたちが悪いかもしれません。

 

正直に言いますが、私はそうやってただ『反原発』を声高に叫ぶだけの人を、想像力の欠如した精神の貧しい人間だとしか思えないのです。

 

 

 『僕の見た震災はテレビの中』

詞・曲 もろさわ和幸

しっかりと握りしめた手を ほんの少しゆるめた時に

振り向いて叫ぶ間もなく あの人は波に消えた

たどり着いた丘の上から 見下ろした故郷の街が

真っ黒な海のうねりに 飲み込まれるのを黙って見ていた

生き延びた事を 喜ぶことも出来ずに

ただあの人の名前を 海に向かって叫び続けた

その悲しみの深さを 僕は唄うことが出来ない

 

もう一度原子炉に 戻らなくてはいけないんだと

呟いた父の背中を 泣きながら少女は見ていた

この国のエネルギーを 守るのがパパの仕事なんだ

自慢げに話しながら 今まで暮らして来たのに

今ではうつむいて 暗い顔で歩く

お前の親父のせいで もう故郷には住めない

そう言われた少女の涙を 僕は唄う事が出来ない

 

初めて海に出たのは 六歳の時だった

船酔いに苦しみながら はるかな海原を見ていた

あれから五十年 海が全てを与えてくれた

妻や子供や家族 そしてささやかな人生

その同じ海が 全てを奪って行った

毎日 海の神様に 祈りを捧げていたのに

そう語る漁師のいらだちを 僕は唄う事が出来ない

 

あの日 テレビの中で 崩れ落ちる町を見ていた

息が苦しくなって 僕はテレビのスイッチを切った

そんな僕には あの日を唄う事が出来ない

 

果てしなく続く 瓦礫の前に立つ時 

絶望という言葉の 本当の意味を知った

 

けれど暗闇の中から 微かな声が聞こえる

しっかりと握りしめた手を 二度と離してはいけないと

しっかりと握りしめた手を 二度と離してはいけない

しっかりと握りしめた手を 二度と離してはいけない

 

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コメント

監督、今度は「私の心は・・・」の歌詞を載せて下さい♪

投稿: 雄介 | 2012年12月 2日 (日) 23時57分

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