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2012年4月15日 (日)

なぜサッチャーをのさばらせ、ジョン・レノンを殺したのか?

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去年は劇場で映画を見なかったと書いた私だが、最近、立て続けに3本見た。その中の一本が「鉄の女の涙」というマーガレット・サッチャーを扱った映画だ。

メリル・ストリープがサッチャー元英国首相を演じ、2度目のアカデミー主演女優賞を取った。(助演を含めると3度目)

「もし神がいるなら、なぜサッチャーをのさばらせておいて、ジョン・レノンを殺したんだ」、というのは確か映画「ブラス」の中のセリフだ。

90年代に作られたイギリス映画の多くはサッチャー政権下の英国を舞台にしている。
「フル・モンティ」「リトル・ダンサー」「ブラス」、これらの映画は鉄工所や炭鉱が潰れていく中、必死に生き延びようとする労働者の姿を描いていて、しかもエンタテイメントになっている。悪役は「冷血なる鉄の女」ことマーガレット・サッチャーだ。

「鉄の女の涙(原題アイアン・レディ)」は、そのサッチャーを描いた映画なのだが、政治家サッチャーというより、一人の女性、母、そして認知症を発症した老人としてのサッチャーを描いている。

監督はこれもメリル・ストリープが主演の「マンマ・ミーヤ」も監督した人で、女性ならではの視点があちこちに見られる。

老いたサッチャーが会食に際して着る服や自分の双子の子供を象徴する二連のパールネックレスにこだわる辺りは、男性監督ならすっ飛ばしてしまう描写だろう。

メリル・ストリープのサッチャーは映画の第一声からそっくりだ。容貌というよりも、その声としゃべり方がそっくりだ。しかし、ただのソックリショーには陥っていない。人間として、そして何よりも女性としてのマーガレット・サッチャーをきちんと体現している。

マーガレット・ロバーツという旧姓で立候補したサッチャーが無残に落選し、結婚後、サッチャーとなって当選する。旦那はよき理解者であるが、政治家となったサッチャーは家庭との両立に苦しむ。

この辺りの描写はありきたりであまり面白くはないが、男性社会である議事堂の中、男たちと渡り合うサッチャーは格好いい。

フォークランド紛争の時に、参戦を反対するアメリカの政治家を、「あなたたちはハワイを攻撃された時に東条と和平交渉をしたのか?」とやり返す場面は一つの見せ場であろう。

サッチャーの時代、ソ連はゴルバチョフ、アメリカはレーガンの時代であった。(ちなみに日本は中曽根さん)

当然、これらの政治家と国際舞台でやり合う場面も描く事は出来たはずたが、そういうシーンはなかった。ゴルバチョフやレーガンのそっくりさんが出て来て映画を安っぽくしなかったのは賢いと思う。

メリル・ストリープが来日した時に言っていたが、サッチャーは首相在任期間中も、 出来る限り朝食を作り、家事をこなしたそうだ。

ミルクを買いに行くシーンで始まり、ティーカップを洗っているところで終わるこの映画は、そういう意味では、実に正しいのであろう。

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