« 中野で唄いました | トップページ | モントリオール国際映画祭 part2 »

2011年8月 9日 (火)

モントリオール国際映画祭

005_800x600

数年前、映画祭に参加するためにカナダのモントリオールへ行った。

帰ってきてまとめた文章を地方のフリーペーパーに掲載した。

そのフリーペーパーも今は廃刊されてしまった。

その文章を転載してみた。

 

 

 JFKで騙される

「お前はアメリカンか?」と聞くので、「いやジャパニーズだ」と答えたら、いや、そうじゃなくて「アメリカン・エアラインか?」という意味だった。「おお、そうだ。イエス、アメリカン・エアライン」と答えると、「じゃあ表へ出てバスに乗ってターミナルナインまで行け」と指示され、言われた通り表に出て駐車場で待っていると、しばらくしてバスというよりはミニバンという感じの車がやって来て、黒人のドライバーが「アメリカン・エアライン?」と聞くので、再び「イエス」と答えて乗り込んだ。JFK空港でトランジットの時の出来事だ。

 

 しばらく走ってターミナルナインに着くと「××ドル」だと言う。「ええっ、金取るのかよ?」と思ったが、トランジットの時間が気になっていたので払おうと思ったけどカナダドルしか持っていない。「日本円でもオッケーだ」というので円で払って空港の中へ入った。トランジットのゲートにたどり着き冷静になってやっと気づいた。「あ、俺、騙されたな」

 

 

 JALからアメリカン・エアラインに乗り継ぐ時に、一旦バゲージを取ってトランジットのカウンターに持って行った。その時、「表に出てエアポートトレインでターミナルナインに行け」と係員に言われたのだ。そして表に出た途端に待っていたのがトランシーバーを片手に制服のような服を来た冒頭の黒人だった。彼は「バス」に乗ってターミナルナインへ行けと言った。「バス」と「トレイン」というちょっとした違いを頭の隅に感じながらも、急いでいたのでそのままバスに乗ってしまったのだ。案の定、後で調べたらエアポートトレインなら只でターミナルナインに行けたのだ。「ちくしょう!」と思ったが後の祭り。まあ、何事も経験だ。これも今回の一人旅の目的の一つだと割り切って、コネクティングフライトを待つことにした。

 

 

 私の監督した映画「ディアフレンズ」がモントリオール国際映画祭で上映される事になり、単身カナダはモントリオールに乗り込む事になった。こういうのは本来ならプロデューサーと一緒に行くもんだが、諸般の事情で行けなくなった。それじゃって事で、前作「キープ・オン・ロッキン」でチェコはカルロビバリに行った時のように、カメラマンの上野を誘ったが、彼も仕上げで忙しい。しかたなく一人で国際線に乗る事になった。

 

本来旅行って奴があまり好きじゃなく、海外に行った経験は今まで二回しかない。最初はニューヨークで、これはテレビ局の招待だったから、何もしなくてオッケーだった。二回目がカルロビバリ国際映画祭で、これは自主製作映画だったので、チケットの手配から映画祭のやり取りまで、全部自分でやった。この時の体験があるので、何とかなるとは思っていたが、一人で海外に行くのは初めてなので、多少の不安はあった。で、早速、JFKで騙されたと言うわけだ。

 

 

乗り継ぎ便を待っていると、どうやら霧のため出発が遅れているらしい。最初は一時間くらいだった遅れが二時間になり三時間になり、最終的には五時間も待たされる事になり、モントリオールの空港に着いた時はもう夜の十時を過ぎていた。ちゃんと迎えは来てくれるのかしらん、と思って到着ゲートを出ると、よくアメリカ映画で見かけるみたいにスケッチブックに「MR.KAZUYUKI MOROSAWA」と書いた紙を持った銀髪のおばちゃんが立っていた。良かった良かった。ちゃんと迎えに来ている。

 

同じ頃到着したゲストは全部で五人。映画祭が用意したミニバンに乗り込むと、自己紹介と握手の交換。この辺り外人はやはり人懐っこい。すぐ彼らは喋りだしたが、何を言ってるのかさっぱり判らない。どうやら、フランス語とスペイン語が飛び交っている様だ。「お前は英語か?」と隣の奴が聞くので、「そうだ」と答えると英語に切り返えてくれた。そいつはベルギーから来た監督で短編部門にエントリー、前に座った男はメキシコから来たドキュメンタリー映画の監督だった。彼らは二カ国語以上を流暢に話す。隣のベルギー人は英語、フランス語、スペイン語をしゃべる。「日本語はどうなんだよ?」と言ったら、「日本語を喋るのは日本人だけだよ」と笑われてしまった。確かにそうだ。大航海時代、イギリス、フランス、スペインは世界を航海し入植地を作った。その結果、彼らの言語は母国以外でも広範囲で使われている。その頃、日本は鎖国していた。この差は大きい。結果、今でも日本人は言葉で苦労しているわけだ。鎖国なんかしてる場合かよ、徳川幕府!

 

 

ホテルに着くとベルギー人たちは別の宿らしく「また会おうね」と言って別れた。メキシコ人のゴンザレスは同じホテルで、互いの映画祭での健闘を祈りつつ、別々の部屋に消えた。このミスター・ゴンザレスとはその後も何度か関わりを持つようになる。頭はすっかり禿げ上がっているが、多分私より年下だろうなと思っていたら、案の定、後で調べたら十歳下だった。

 

部屋に入って荷を解くと、もう夜の11時を過ぎている。日本を発ってから24時間以上過ぎた。さすがに疲れた。そして腹が減った。窓の外を見ると土曜日だというせいもあり、どこも真っ暗だ。仕方なくルームサービスを頼む事にした。フレンチクラッシクスにローカルビア。ローカルビアのブランドは?と聞かれたので、「お勧めは何?」と聞くと、×××のレッドビールがいいわよと受付の女の子が言うので、その通りに注文した。しばらくして、その同じ子らしき女の子がルームサービスを運んで来た。「あ、チップはどうたらいいんだっけ?」と思ったので、これって「チップは含まれてるの?」とダイレクトに聞いた。「ドンウォリー、ジャストサインイット」という答え。で安心してサインをした。

 

チップの問題は日本人が外国に行った時に一番悩ましい問題の一つだ。私もいろいろ事前に調べたけど、最近はホテルなどの場合あらかじめ含まれていることが多いので確認した方がいいと何かに書いてあったのを思い出したのだ。

 

フレンチクラッシクスは大変に美味かった。バゲットにハムとレタスを挟んだだけなんだが、とにかく美味かった。彼女お勧めのレッドビアも美味かった。思わず部屋の中で一人、「美味い!」と声を上げてしまったほどだ。

 

 

つづく。

|

« 中野で唄いました | トップページ | モントリオール国際映画祭 part2 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543593/52435793

この記事へのトラックバック一覧です: モントリオール国際映画祭:

« 中野で唄いました | トップページ | モントリオール国際映画祭 part2 »